あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~
でも、ラーもモデルの仕事を本格的に始めて……。
少し話が合わなくなってきたかもしれない、と思った事はあった。
「……でも大事な友達だよ……」
たくさん笑って、たくさん楽しい思い出がある。
自分がわかっている事はラーも当然にわかってると思って『できないなら、私やっておく』って言った事が何回かあったかも、と頭でグルグル思い出している。
それはラーにとって、くやしい事だったかもしれない。
きっとお互いに、ごかいがある、と光は思う。
「素敵だね」
「え?」
「魔界ではさぁ~大事な友達って言える悪魔と出逢えることなんか、なかなかないよ」
「そうなの?」
「そうだよ。仲良くなるってすごいこと」
「……それは、悪魔でも人間でもすごいことかも」
「僕もそう思うよ」
麻那人が優しく微笑んで、光もなんだかホッとして微笑んだ。
「話せばきっと、わかってくれるよ」
「そうだね……話をきちんとしなきゃ……私に悪いとこあるなら謝らないとね。麻那人はリーダーやりたい?」
「我らが悪魔王子! 麻那人様こそ! 全てのリーダーにふさわしいのであーる!」
ファルゴンが天井をグルグル回る。
「ファルゴン、僕はそういうしがらみから逃げてきたんだけどなぁ」
麻那人は苦笑いした。
「(しがらみ……?)それも多数決で決めようか。学校みたいに」
「多数決かぁ。興味ある」
顔を見合わせて、フフッと笑った。
一人だったら、ずっとモヤモヤしていたかもしれない。
「ありがとう麻那人」
「僕は何もしていないけどね」
そんな事を言う人は、光にとっては麻那人が初めてだった。
なんだかカッコよくて、くやしい気持ち。
くやしいのに、うれしい、変な気持ちだった。