あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~
「置いていかないでよ!」
「ははっ! 必死で走れよ!」
マシュマロのリードはラーが持っている。
真っ暗で不気味な橋の下。
……なにか……嫌な予感がする……。
ゾワリと肌が粟立つ。
橋の下は20メートルほどだ。
暗いから怖いだけ、そう言い聞かせて兄の後ろを追いかける。
鬼ごっこをしているみたい。
待ってよ!
怖い怖い! 早くここから出たい。
橋の下から出たら、すぐ兄に文句を言おう。
妹を置いていこうとスピードをあげるなんて、最低! とラーはイラついた。
あと少しだ。
川の流れが橋の下で響いてザァアザァアア、ザァアザァアア、ザァアザァアア。
ザァアザァアア、ザァアザァアア、ザァアザァアア……ドクンドクン。
ザァアアザアアアア……ドクンドクン……ドクンドクン。
心臓がうるさい。
怯えてることを自分で気づかないように、走る。
怖い、ただのジョギングで恐怖を感じたことなんて初めてだった。
「……マシュマロ……! 待って!」
リードがやけに引っ張られる。
マシュマロも急いでいる。
でも、嬉しそうじゃない。
……マシュマロも怖がっているようだった。
「ハァハア」
やっと出られる!
そう思って橋の下から出た瞬間、足がもつれて転んでしまった。
「きゃあ!」