あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~
思わずマシュマロのリードを離してしまう。
普段はそんな事にはならないのに、マシュマロはおびえたように走って行ってしまう。
「ラー!? マロ!? 大丈夫か!?」
「お、お兄ちゃん……マシュマロが……いたた……」
「ラー! そこの外灯のベンチで待ってろ! 俺はマロを追いかけるから!」
「わ、わかった」
「スマホ持ってろ、なんかあったら、ばあちゃん家に電話して」
兄は自分のスマホを渡すと、すぐにマシュマロを追いかけ、走って行ってしまう。
痛みのなかでハッとする、外灯の下へ行き怪我をしていないか確認する。
来週にはモデルの仕事がある。膝でも擦りむいていたら、降ろされてしまうかもしれない。
「はぁ……大丈夫だ」
顔も膝も大丈夫。
はぁ、と安心してベンチに座った。
春とはいえ、夜はまだ涼しい。
ベンチの冷たさがおしりに伝わる。
そして自分の怪我を確認して、忘れていた恐怖が橋を見て、また蘇ってきた。