あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~

 思わずマシュマロのリードを離してしまう。
 普段はそんな事にはならないのに、マシュマロはおびえたように走って行ってしまう。

「ラー!? マロ!? 大丈夫か!?」

「お、お兄ちゃん……マシュマロが……いたた……」

「ラー! そこの外灯のベンチで待ってろ! 俺はマロを追いかけるから!」

「わ、わかった」

「スマホ持ってろ、なんかあったら、ばあちゃん家に電話して」
 
 兄は自分のスマホを渡すと、すぐにマシュマロを追いかけ、走って行ってしまう。

 痛みのなかでハッとする、外灯の下へ行き怪我をしていないか確認する。

 来週にはモデルの仕事がある。膝でも擦りむいていたら、降ろされてしまうかもしれない。

「はぁ……大丈夫だ」

 顔も膝も大丈夫。
 はぁ、と安心してベンチに座った。
 春とはいえ、夜はまだ涼しい。
 ベンチの冷たさがおしりに伝わる。

 そして自分の怪我を確認して、忘れていた恐怖が橋を見て、また蘇ってきた。
< 73 / 128 >

この作品をシェア

pagetop