あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~

走って走ってまだ走る!光のひらめき

 光と麻那人は、走り続けていた。
 やっと光の家から一番近い、川岸のサイクリングロードに着いたが、此処からまた走らなければいけない。

 パジャマ姿で、靴下を履く時間もなかった。
 足がベタベタして、中の小石が足の裏に刺さって痛い。

「ハァ……ハァ…………ラー……」

 それでも、光は走る!
 叫んで探そうと思っても、ヒューヒューとした小さな声しか出なかった。

「光……頑張れっ」

 さすがの悪魔王子も、疲れ知らずというわけではない。
 彼も額に汗を流して、荒い息で走っている。

「ど、どうしよ……場所か……移動か……どうしよう麻那人っ」

「どうするか……」

「ねぇ……本当に……ラーは襲われる……の?」

 どうかこの頑張りが、無駄であってほしいと、光は望んでしまう。
 元気にランニングしていたラーに『なにやってんの?』と馬鹿にされたい。
 
「人間の生命の流れ。闇の流れ。よどみの流れ。それが時計の文字板と秒針、分針のように合わさった時に、怪異は起きる……この暗さ、このよどみ……蘭子ちゃんは九割方、狙われるだろう」

「うそ……じゃあやっぱり……ラーは……鬼に……」

 泣きそうになって涙をこらえて光は、走る。

 でももう光の体力は、限界も近い。
 麻那人もそれはわかっていた。

 しかし三番目の魔術は、追いかけ鬼へのために、とっておかなければならない。

 だからラーの元へたどり着くまでに、使える魔術は、あと一回!
 
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