あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~

 場所を特定できないまま、移動しても意味がない。
 場所を特定できても、それが何キロも先だったら間に合わないかもしれない。

「君なら、わからないかっ!? 光……!」

「ハァ……ハァ何が!?」

「この街の怪異が、特に起きそうな情報を、知らないか……!?」

 苦しい! 苦しい! 

 脳みそに酸素が、足りない!

 苦しい! 泣きそう! 疲れた!

 でもでも、ラー!

 ラー! 

 そんな状況なのに、変な質問をしてくる悪魔王子に光はイライラもあって叫ぶ!

「どういうこと!? 意味分かんないよ!」
 
「追いかけ鬼だって、繁華街には出ないと言っただろう? 人が多い光が多い場所には出ない! 暗いもの、よどみが、けがれが溜まる場所……そういう場所を知らないか!?」

「えっ……」

「魔術クラブリーダー! 思い出せ!」

「(何言ってるの!?)」

 おじいちゃんのステッキを、バトンのように持って走っている。
 暗いのに、キラッと光った。

「あ……!!」

 光のひらめき! きらめく!!!

「ラーの家の方に、工事中の古い橋がある! あそこは前から……!」

「不気味だったんだね!?」

「……そう!」

「そこだ! 手を!」

 苦しくて、途切れ途切れになった光の言葉を麻那人は理解した。
 先を走る麻那人が振り返って、手を差し出す。

「えっ……?」

 疲れ果てて転びそうになる光の手を麻那人は掴んで、支えた。

「……そこに飛ぶ……! 二回目の魔術発動だ!!」

 ファルゴンが慌てて、光の頭にくっついた!

 何か魔法陣のようなものが出現したかと思った瞬間、二人と一匹の姿はその場所から消えた。



 
< 76 / 123 >

この作品をシェア

pagetop