あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~

ラー絶体絶命!光のヒカリ!

 
 暗い川岸のサイクリングロード。
 ラーに迫る追いかけ鬼!! 

「ひ……ひぃ……!?」

 お兄ちゃんのスマホを持ったまま後ずさりしたラーだったが、恐怖で尻餅をついてしまう。

『んがぁあ……おまえ……んんん』

 子ども一人なら丸呑みしそうな、大きな口。
 巨大な目が2つギョロギョロして、大きなツノが額から出てくる。

 以前にラーがモデル仕事で取材に行った、秋田県の『なまはげ』のようだった。

 その顔を不思議そうに、その鬼はくるくる360度まわす。

 巨大な目と口がぐるぐる回って、恐ろしい絵面だった、

『おまえぇええ、あのガキィ、ちがうぅうううう』

「ひぃ……ち、ちが……ちが……」

 涙を流しながらラーは『違う』と繰り返した。
 
 誰かと間違えている!?

 こんな化け物に、私が襲われるなんておかしい!

 そう思いながらも、もうそれだけ言ったらラーは恐怖で声も出ない。

 震えて震えて、スマホなんかどこかに行ってしまった。

 これは『追いかけ鬼』なのか!?
 あの魔術クラブで、一緒に話をしていたら撃退する方法がわかったかもしれない。

「ち……が……う……」

 絞り出すような自分の声が聞こえた。
 恐怖で声が全然出なくて、やっと出た声はため息のようだ。

 私は違う。
 どうかわかって……! どっか行って!! と祈る思いだった。

『まぁいいがぁ……いだだぐまがぁあああっっすす!!』 

 ラーにも光と同じように、追いかけ鬼が『いただきます』と言ったのがわかった。

 何もない普通の夜だったのに、光に謝ることもできなかった……ママ! パパ!
< 77 / 123 >

この作品をシェア

pagetop