あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~
ラーは叫ぶこともできずに、自分の身を守るように縮こまった。
きっと、あの牙にかみ砕かれて、死んでしまうんだ……!
……。
…………。
しかし数秒経っても、身体に痛みはない。
しっかりつむっていた瞳を、うっすら開ける。
「あぁ!?」
ラーと追いかけ鬼の間に、光と麻那人が立ちはだかっていた。
「ひ、光……!?」
「ラー! 大丈夫!?」
「う、うん……」
「間に合って良かった!」
「よし! 光、第三の魔法を君に付与しよう」
「へぇ!? 麻那人どういうこと!? 私に!?」
「そうだ。君がやっつけろ!」
ラーには二人の会話は、あまりよく聞こえていなかった。
ただ、光が助けに来てくれたことだけわかったのだった。
「大丈夫かい? 助けに来たよ」
麻那人が、ラーを庇うようにして抱き上げる。
そんな王子様のような行動をされても、ラーは光を見ていた。
追いかけ鬼に、立ち向かっているのは光だ。
おじいちゃんにもらったという紅い宝石のステッキ。
とっても、とっても羨ましかった。
「光……」
「あんた! 私の友達に何してくれてんのぉ!?」
「光……!」
真っ暗だった川岸に、真っ黒な存在の追いかけ鬼。
その中でキラキラと光り輝く存在の光。
光がラーを襲った、追いかけ鬼に叫んでいる。
友達を襲った追いかけ鬼に怒っている。