あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~
何もわからない状況でもラーにはそれが、わかった。
友達のために、光はラーを助けに来てくれたのだ。
『ぐでやるぞぉおおおおお』
追いかけ鬼は光に牙を剥く!!
「光! 危ない!」
ラーが叫んでも、光は逃げない!
「許さない! 悪の化身よ! 散れ! サンダァアアアア! アロー!!!」
ビュンビュンとステッキを振り回して、光は叫んだ。
「! その技……! マジカルフェンリー……!!」
光が叫ぶと、ズガーン! と追いかけ鬼の巨大な頭に雷が落ちた。
黒い液体が詰まった風船を潰した時のように、ブシャアアと弾け飛ぶ。
ヘドロのような腐った臭い。
怖い思いも、震えも、死ぬかと思っていた気持ちも。
弾け飛んでいく。
「ラー!! 大丈夫!?」
「光!」
抱き上げていたラーを、麻那人が降ろすと、駆け寄った光にラーは泣きながら抱きついた。
「わぁああ、怖かった。光、光……! ごめんね、ごめんなさい……わあああ」
ラーも光も一緒に遊んでいた頃も思い出して、もっと涙が出てきた。