あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~
「ラー、私もごめん、ごめんね……」
光とラーは抱き合って、ワンワン泣いて何度も何度も謝った。
そんな姿を見て、ふぅ~と微笑む麻那人。
「なんだぁ……? なにやってんだよ? ラー? あれ、光ちゃん……??」
ラーのお兄ちゃんが、マシュマロを抱っこして戻ってきた。
女の子が二人、抱き合って泣いているのを見て困惑している。
お兄ちゃんのスマホの画面は割れて地面に落ちていたけど、麻那人はそれよりも……。
飛散した追いかけ鬼の《《けがれ》》を、手で掴もうとした。
普通ならべチャリと、手のひらに怪異のけがれが残るはずだが……。
「麻那人様……?」
暗闇にまぎれて、麻那人の耳元でファルゴンがささやく。
麻那人の手のひらには、何かのうごめく文字が流れて消えていった。
「……あの追いかけ鬼は《《創られた》》存在だ」
「……まさか、あれだけの存在を創り出せるものなど……」
麻那人の言葉にファルゴンが驚く。
「普通なら、いないよねぇ。……新生魔術クラブの使命は重たいみたいだ」
麻那人は微笑み、泣いている二人を見つめた。
いつの間にか、夜空に星がきらめいていた。