あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~
「そんなんじゃわからないって……」
リィが呆れる。
「……鬼……だもんね……こんな感じ?」
サラサラ……と真っ白な紙に、ルルは鬼を描いていく。
「わ! すごい! そうそう! でもね顔だけなんだよ」
「そうなのね……」
身体を描こうとしていた手を止めて消しゴムで消し、更に顔を描き込んでいく。
「すごく口の中が牙がいっぱいなの! ですごく腐ったような臭いがする」
「うんうん、わかるわ! 私も臭い! って覚えているわ」
光の話に、ラーがうなずく。
「うわ~キモ」
迫力のある鬼の顔の絵に、臭いという話を聞いてリィが顔をしかめた。
「すごいや。本当に絵が上手だねぇ。瑠流ちゃんは」
ルルは本名も瑠流だ。
「えっ……そ、そんな……全然……私なんて」
急に褒められて、慌てるルル。
ルルは絵の賞を何度もとっているし学校で知らない人はいない。
でもルル本人はいつも自信なさげだ。
「僕なんか、何描いても、まんじゅうみたいにしかならないよ」
「ふふ、絵はどんな絵でも全部素敵だよ」
ルルが微笑む。
光が自分で下手っぴだと思った絵をルルに欲しいと言われたことを思い出した。
「うん。瑠流ちゃんの絵も素敵だよ」
微笑む麻那人に、ルルは頬を赤らめた。
「わ、私もね! ちょっとイラスト描いたりするのよ!」
ラーが対抗しはじめたけど、ルルはそのまま追いかけ鬼の絵を描いて完成させてくれたのだった。