あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~
ファンタジー映画に出てくるような、木で出来た本棚には色んな世界の本がびっしりと詰まっている。
どれだけ重いんだろう? と思うようながっしりした木の机は磨き上げられたようにツヤツヤだ。
壁には星やワニが描かれている。
机の上には、羽根ペン。
ロウを垂らして、手紙に封をするシーリングスタンプもある。
棚には、ゴロゴロと鉱物の原石、干からびたような根っこ。液体や粉の入ったガラス瓶。
天秤、何に使うのかわからない計測器。
光にとって、何かわかるものなんて殆どない。
でも、この部屋がやっぱり大好きだ。
端っこに小柄だったおじいちゃんのベッドがある。
パッチワークのベッドカバーがかぶせてあるのだ。
「このベッドは君が使いなよ」
「えっ」
「僕は今日からこれで寝る」
「悪魔王子! 王子である貴方様が、このような布の上で寝るだなんて!」
ファルゴンが急に現れて、屋根裏部屋の天井をコウモリみたいにパタパタ飛んで喚く。
「はは。布じゃない、ハンモックだよ。僕はこれで寝てみたいと思ってたのさ」
そういう麻那人の足元には届いた巨大なハンモックのダンボールがある。
「あ、これ……組み立てるの?」
「あぁ、そうだよ」
麻那人が片手を上げると、ハンモックのダンボールが開いて中から部品が現れる。
「あ、魔法」
「うん」
「今日はもう二回目だよ? 大丈夫?」
「大丈夫じゃない?」
軽く言う麻那人は、くるくる指で操るようにすると丁度スペースがある部分にガシン! ガシン!とハンモックが設置されていく。
「杭は残らないようにするよ」
「う、うん……」
光が寝る事になるベッドのスペースの上に横と縦になるように、麻那人のハンモックは完成した。
「ヨイショ」