さよならシンデレラ
きつく、そう言えば、瀬戸流風の目が細められた。
「……なにそれ」
「だってムカつくんだもん、あいつ」
「俺が言ったところで、真耶がまたあんたが俺に関わってるってウザくなるだけ。無駄だろ」
「うん……でも、それはそれでいいかなって」
「…は?」
「せ……流風くんと喋りたいなって思ったのは私の意思だから。今もこうして喋ってるけど、流風くんのこと嫌だなって思わないから」
「俺は嫌だけど」
「怒って、キレたら手をつけられないって聞いたけど、全く、そんな事ないなって」
笑みを浮かべる私は、「普通に…、真耶よりいい…」と、自分の両手を握った。
「あんなにも性格の悪い真耶に付きまとわれるぐらいなら、あなたの方がいい…」
「……」
「初めて、こうして話すけど」
「……」
「私と友達になってくれない?」
顔をしかめる流風は、何言ってんだこいつ…見たいな顔をして。深いため息をついた流風は、「……普通に無理」と、私から目を逸らした。
「…どうして?」
「それが真耶の狙いかもしんねぇから。つか、お前が真耶に言われてここにいるかもしんねぇだろ」
それはつまり、スパイとしての意味で?
「…どうすれば信じてくれる?」
「信じるも何も、女の時点で無理」
「……女?」
流風は、私の方を見つめた。
その目は、怪訝…というよりも、蔑んだ瞳で。
「女は真耶よりも信用できねぇ、」
「……」
「…もうどっか行け、気が変わんねぇうちに」
流風の目を見て、これ以上無駄だと思ったから。私は椅子から立ち上がった。
女の人が嫌いらしい流風……。
信用できない、もしかしたら過去に何かあったのかもしれず。