ふたご
「くるくる回ろ」
「くるくる遊ぼ」
「くるくる~」「くるくるー」
かごめかごめを思い出す。
2人は私を中心に折れ曲がり,手を繋いで回り始めた。
「あはは」
「楽しいねー」
「ねえねえ梨乃ちゃん」
なに? と振り回されながら顔を向ける。
私に声をかけた太陽くんはにこりと微笑んで,私に尋ねた。
「梨乃ちゃんのお兄ちゃんはどんな人?」
「どんな人~?」
急かすように花ちゃんも言う。
お兄ちゃん?
お兄ちゃんは
私は聞かれた通り,今はここにいない兄を思い浮かべた。
頭がとげとげツンツンで,真っ黒。
日焼けでこげたような肌を,いつもタンクトップで惜しげもなくさらしている。
優しくてカッコいくて,でもちょっと粗っぽくて。
それで
「私を一番大切にしてくれる人だよ」
何を言っているんだろうと恥ずかしくなった。
そして,ふと思う。
あれ,わたし
「お兄ちゃんがいるなんて,話したっけ」
ぽつりと音となって溢れ落ちた。
双子はぴたりと足を揃えて止まる。
「そんな気がしたの」
「ねー」
また,顔を見合わせて,胴体を前に倒した2人。
「ほら,あっちだよ。あれ!」
太陽くんが指した先には,確かに紙のようなものが落ちていた。
導かれるように歩いて,拾い上げてみる。