■Love and hate.
暗紅色
◆一条side
いつからだろう。
縛られている女性を綺麗だと思うようになったのは。
女性に歪んだ愛情しか向けられなくなったのは。
普通の行為では物足りなくなったのは。
きっとそれは、最初から俺の中にあった。
好きな食べ物はその味を知らなければ見つけることができない。
俺の本能はきっと、ずっと渇望していたのだ。
目の前にいる洋子の長い黒髪を鷲掴みにし、顔を上げさせる。
「舐めて」
短く命令すると、苦々しい表情をしながらも応えようとするのが可愛らしい。
しかしいつまで経っても躊躇っているので、更にきつく髪を引っ張った。
「ほら、舌出して」
「……っ、」
「聞こえなかった?舌出せ、って言ってるんだよ?」
洋子の口元にソレを押し付け、逃げ場を無くしていく。
洋子の目の奥に暗い欲望が宿るのが分かった。
脅えたような表情をしながら俺の言う通りに動き始める。
途中で、わざと腰を引いて洋子からソレを離した。
這い蹲りながら追うように近付いてくる洋子を、嘲笑いながら蹴り離す。
「何グズグズしてるの?早くしなよ」
「ご、めんなさ…い」
泣きそうな声。興奮する。
普段は大人っぽい洋子も、こういう時は舌足らずな子供のようで。
再び俺のソレを咥える洋子。
「…この下手くそ」
低く罵ってやると、洋子の身体がブルリと震えた。
「ごめんなさい…見捨てないで…」
呟くように洋子の口から出てきたその台詞がいじらしく、理性が崩壊していく。
今すぐ噛み付きたい、痣ができるほどその身体を叩き付けたい。
洋子は一生懸命俺に奉仕する。
だんだん気持ち良くなってきて、俺は洋子の綺麗な黒髪を撫でた。
「良い子だね、洋子」
俺のその言葉を待っていたかのように、洋子は頬を桃色に染めた。