■Love and hate.






この手紙を読んでくれるかどうかは分からないけど、もし読んでくれているのなら、これから吐露する俺の真情を受け入れてほしい。




君がいなくなってからできないことが増えた。




凄く単純なことが




ただ考えないというだけのことができない。




君のことばかり考えている。




今何をしているんだろうとか、もう俺のことなんて忘れたのかなとか。




毎晩君との楽しい出来事ばかり思い出して、その度にもう戻れない現実を叩き付けられて消えたくなる。




でも、同時にいつだったか君に消えないでと言われたことも思い出して、君のあの言葉の所為で俺は消えられない。




これからも消えない。




君を傷付けたい。




どうしようもなく君に嫉妬してた。




ずっと君を傷付ける為に傍にいた。




でも本当に傷付けられるべきなのは俺なんだ。




憎い憎いと思っていたのに、いつの間にか君の隣で純粋に楽しんでいる自分がいたことに今更気付いた。




君といるだけで俺の世界が彩られていた。




最初は確かに君が嫌いだったよ。




家族のいる君と関わる度に虚しさや劣等を感じた。




でも、君を嫌いだという感情がいつの間にか単なる予防線に変わっていた。




君に嫌われることが怖くて、自分の唐突な感情の変化に戸惑って、その時が来ても傷付かないように君のことを嫌いだと言い聞かせて自分を守った。




俺は狂っているのかもしれない。




君を傷付けようとしたのは嫌いだからじゃなかった。




ずっと俺の傍にいてくれるからこそいじらしくて、泣き叫ぶ声が聞きたいとか、自分から俺を受け入れるように仕向けて逃げられないようにしたいとか、とことん追い詰めて泣かせたいとか、俺に関係することだけに傷付いてほしいとか、俺の手で壊したいとか。




嫌いなわけじゃないのにそんなことばかり思ってしまって、考えないようにしても君といる時間が長くなれば長くなるほど破壊衝動が襲ってきた。




こんな俺をいつか君が嫌いになることなんて分かり切ってた。




好かれたければ、優しくするべきだったんだ。




今更気付いても遅いけどね。




君が向き合ったんだから今度は俺が向き合う番だ。




君の目に留まるように、頑張って仕事するよ。




こっちも君達には負けないから覚悟しておいて。




傷付けてごめん。




君の大切な時間を俺にくれてありがとう。




さようなら




は、言いたくないからまたいつか。




幸せになってね。






なんてのは、とても真情とは言えないか。




俺は最後まで狡い人間なのかもしれない。




自分を綺麗に見せる為に君のことを諦めた振りをして、あたかも君の幸せを心から願っているように言う。




君を壊したいと思う俺が君を幸せにできるわけがないから、君を幸せにできる誰かに嫉妬する。




本当は他の奴と幸せになってほしいなんて微塵も思ってない。




これからも絶対に思わない。





君にこんな俺を罰してほしい。




苦しめてほしい。




いっそ君に殺されたい。




君の腕の中で死にたい。





君のいない世界なんかいらない。




だから――…








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