■Love and hate.
そんなことを考えているうちにも不思議とやたら眠気が襲ってきて、お風呂に入らなければいけないと思うのに、体を動かす気にならない。
「栞、可愛かったよ」
「…やめてください」
「最初は元気だったのに、俺の律動で徐々に弱々しくなっていく様がたまんない」
「……変態…」
「うん、そうかもね」
私に優しく話し掛ける一条さんの手が、いつの間にか私の腰に回っている。
撫でさするようなその動きに、嫌な予感がした。
「さっき…しましたよね?」
「うん」
「終わり、ましたよね?」
「うん。でも栞に他の若いのと比べられるの嫌だし、負けてらんないでしょ?」
本当に比べる気なんかないのに。
比べられる相手もいないのに。
「ゆっくり仕込んでいこうかな」
そう言った一条さんは私とは違って全く眠たくなさそうで、それどころか冴えきっているようで、私が既に疲れ切っていることに関しては全く気遣ってくれないらしい。
ぐったりした私にも容赦なしの第2ラウンド。
最初のうちは焦らすようにもどかしい動きばかりしていたのに、最後の方になると変な感じがするところばかり突いてきて、気絶するかと思った。
「…栞、栞……」
一条さんは切なそうな色っぽい声で私の名前を何度も呼ぶ。
「君のことを、…愛しく思う」
男っていう性別を感じさせるような目付きで私を見下ろす。
「俺の傍にいてくれてありがとう」
ふと見上げた先。
一条さんの胸元の傷は、綺麗になくなっていた。