【超短編集】一分後に世界が変わる 意味が分かると怖い話

壊してしまった

 私はあるものを壊してしまった。申し訳ないし、どうしようもない。
 簡単になおすこともできない。非常に繊細な壊れやすいものだが、ガラスではない。
 ガラスのようなものではあるかもしれない。

 どうしよう。どうしよう。弁償しようにも値段はつけられない。

 傷をつけてしまった。どうやったらいいのだろうか?
 謝ったほうがいいかもしれない。お金で解決できるといいけれど。
 ちょっとした傷でも修理代って高いって言うけれど、この場合は値段なんて不明なんだ。

 傷には修理代の確かな金額なんてないのだから。

 そして、明確な交通事故のような解決方法はないのだ。
 もう二度と連絡取れないということもあるだろうし、どう謝っても許してもらえないかもしれない。
 しかも、傷の割合も見えないのだから、こちらが傷ついたとしても、何かしらの保証もないのだ。
 

★解説
 何を壊した? 花瓶? 高価な飾り物?
 心だ。精神を壊してしまったのだ。一度壊すと簡単に修復できるものではないのだ。
 複雑な問題が心の傷なのだ。
 体の傷と違って治る期間も不明だ。個人差が非常に大きいのだ。

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