【超短編集】一分後に世界が変わる 意味が分かると怖い話

告白前夜

「ずっと好きでした。私と付き合ってください」 思い切ってずっと好きだった同級生に告白をした。一生懸命セリフを考えて声に出して練習した。

 なのに彼は、私を無視した。これは、嫌いだという意思表示だろうか。

 その後、気まずいと思い、話しかけないでいた。相変わらず彼も視線を合わせない。嫌われていたのだろうか。気が合ういい関係だと思っていた。 それなのに――一方的な片思いだったということだろうか。 心が痛む。どうして、こんなに苦しいのだろう。無視ほど辛いものはない。ちゃんと言葉で伝えてほしい。

 でも、彼はずっとうつむき加減で悲し気な顔をしている。 制服のまま、私の家へ向かう彼。 私のことを無視するのに、どうしてうちに来るの? どうしてそんなに目にクマを作っているの? 泣きはらした目をしているの? いつもと違う彼の様子がとても心配だった。 自宅にいる母と会話をしてリビングに向かう。

 あれ? そこに寝ているのは私――? どうして、動かないの? どうして私は横になったままなの? どうして私自身を見ているの? 理解ができない。

「あの子は死んでしまったけれど、ずっとあなたのことを思っていると思います。ありがとう」 あの子? 死んだ? 記憶が戻る。

 そうだ、私――事故に遭って死んだんだ。 ずっと好きだった人に告白しようとした前夜――私は死んでいたらしい。そんなことも知らずに告白していたなんて……でも、お葬式で彼がずっと好きだったよって言ってくれたんだ。これって両思いってことだよね。
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