クールな王太子は一途に愛を待ち続ける~夢灯りに咲く紫苑~
「打ち水をすると涼しくなるのはどうしてかしらね」
明るい口調で少年に問いかけたところで、真後ろからまた別の人物に「お嬢様」と声をかけられた。
少年よりも何歳か年上の、かわいらしい顔立ちをした少女だった。
彼女は自分に付いてくれている使用人だと、なぜかわからないがレーナは夢の中で自然と理解していた。
「髪型が崩れていますので結い直しましょう」
「ありがとう」
「上げ髪もいいですけど、お嬢様は“まがれいと”もきっとお似合いですよ」
にこりと微笑んでうなずいたところで、レーナは目を覚ました。
次にぼんやりと視界に入ってきたのは寝起きしている部屋の見慣れた天井だ。
まだ頭がすっきりしないままベッドから出て、覚えている範囲をノートに書きこんでいく。
ここ最近、おかしな夢を見る現象が何度か続いているので、忘れないよう記録に残すことにしたのだ。
今朝の夢では、レーナは“お嬢様”と呼ばれていた。貴族の娘のように大事に扱われていたのは間違いない。
登場する人物はみんな見たことのない服装をしていて、自分を含め女性は長い髪を上部で結わえていた。
しかし、“まがれいと”とはなんなのか。
目にする風景や交わす会話ははっきりと覚えているのに、相手の名前や自分がどこにいたのかはわからない。
レーナはモヤモヤしながらノートを閉じて、朝の身支度を始めた。
明るい口調で少年に問いかけたところで、真後ろからまた別の人物に「お嬢様」と声をかけられた。
少年よりも何歳か年上の、かわいらしい顔立ちをした少女だった。
彼女は自分に付いてくれている使用人だと、なぜかわからないがレーナは夢の中で自然と理解していた。
「髪型が崩れていますので結い直しましょう」
「ありがとう」
「上げ髪もいいですけど、お嬢様は“まがれいと”もきっとお似合いですよ」
にこりと微笑んでうなずいたところで、レーナは目を覚ました。
次にぼんやりと視界に入ってきたのは寝起きしている部屋の見慣れた天井だ。
まだ頭がすっきりしないままベッドから出て、覚えている範囲をノートに書きこんでいく。
ここ最近、おかしな夢を見る現象が何度か続いているので、忘れないよう記録に残すことにしたのだ。
今朝の夢では、レーナは“お嬢様”と呼ばれていた。貴族の娘のように大事に扱われていたのは間違いない。
登場する人物はみんな見たことのない服装をしていて、自分を含め女性は長い髪を上部で結わえていた。
しかし、“まがれいと”とはなんなのか。
目にする風景や交わす会話ははっきりと覚えているのに、相手の名前や自分がどこにいたのかはわからない。
レーナはモヤモヤしながらノートを閉じて、朝の身支度を始めた。