御曹司は幼馴染を溺愛して蕩けさせたい
別れ
「維織っ…クッ…」

目の前の彼は自分勝手に盛り上がっている。
私はそれを見てみぬフリをして。


「今日も最高だったな」


「そうね」

お前だけな。
とは言わないでおく。


藤崎維織(ふじさきいおり)28歳。
実家は藤崎建設という会社を営み父が社長をしている。
そしてそこの副社長の藤崎絃(ふじさきいと)が私の二歳上の兄だ。

私はその兄の下で秘書として働いている。

兄は知らないが、私にはずっと彼氏がいる。
一応。

彼は普通の会社員でもうなんだかんだ4年くらい付き合ってる。
一応。

と言っても会うのは月に一度か二度ほどで、連絡もほとんどとらない。

会う約束をする時だけ業務連絡のように連絡をとって、食事をとってその後ホテルで身体を重ねて泊まらずに帰る。

そんな付き合いをしていれば気づけば4年もたっていて、28歳になってしまった。
なんなら誕生日が来たら29歳だ。

やっぱり28歳にもなれば、嫌でも結婚というワードが頭を過ぎる。

でも全く今の彼との未来が想像できない。
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