御曹司は幼馴染を溺愛して蕩けさせたい
〜維織side〜

金曜日。
今日は残業になりそう。

そう思ってれば、絃はそそくさと帰ってしまった。

おいおい。

まぁいいけどさ。

あの時の女か?
全く。

そう言えば奏翔も女と電話してたな。
前もモールでそれっぽい人と会って、猿って言えばさーせんなんて返ってきた。

はぁ。
別にいいんだけど、ムカつくわ。

すると少し経って絃が戻ってきた。

なんだ、女じゃなかったのか?
私は特に気にせず残りの仕事を進める。

「維織、高校ん時の図書委員覚えてるか?」

パソコンに向かいながら話しかけられた。

「え!? 那智ちゃん!? どうしたの!?」

那智ちゃんは、高校の時の私の同級生でめちゃくちゃ美人なのに目立ちたくないからか、野暮ったい前髪とメガネでずっと顔を隠してた子。

私や翠たちは実は密かに那智ちゃんの隠れファンだった。

絃は昼休み、周りがうるさいから那智ちゃんが図書委員をしてる図書室で三年生の時ずっと昼寝をしていたらしい。
< 106 / 283 >

この作品をシェア

pagetop