御曹司は幼馴染を溺愛して蕩けさせたい
「そうだな。忘れろ」

奏翔もようやく笑った。
ふぅ。

なんだかそれを見たら急に…

「うっ…」

別にそんなに好きじゃなかったけど、なんか悔しい。
4年も何してたの?って。

私、彼の前でちゃんと笑った事あったかなって。

そんな自分が情けなくて。

奏翔にあんな顔させて、心配かけて怒らせて。

久しぶりに見た。
奏翔が怒るところ。

「泣くな。ほら」

奏翔は急に泣き出した私を、運転しながら高級なスーツの袖で容赦なくゴシゴシ拭く。

「い、痛いー」

スーツがメイクで汚れちゃうよー。

「ククククっ」

「笑わないでー」

もう私は大号泣だ。

「胸貸してやろうか? ん?」

なんてふざけてるし。

「ふざけないでぇー! 悔しい! ちくしょう! あんぽんたん!」

「小学生かよ。ククククっ」

全く幼稚な言葉しか出てこない自分に結局最後は笑ってしまった。
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