御曹司は幼馴染を溺愛して蕩けさせたい
〜奏翔side〜

今、俺の目の前には絃がため息を吐いてグラスを揺らしている。

コイツは馬鹿だ。
まぁ、俺も人の事言えないがな。

先日ここに維織達と連れてきた那智ちゃん。

絃はあの日、皆んなと帰った後しばらくしてからまた一人で店に戻ってきた。

女を相手にしてもイかなくなったとバカな事を言いながら。

そして今日も。

「ありえねぇ。なんで? 病気か? 反応もしなかったぞ遂に。働き過ぎか?」

絃が項垂れている。

「なぁ。お前、諦めたら?」

「何をだよ」

「他に本気で抱きたい女いるんじゃねぇの?」

「帰る」

バンと金をテーブルに置いて行ってしまった。

「クククク」

馬鹿だな。
那智ちゃんに会ってから他の女を抱けなくなったのに、まだ気づかねぇのか、知らないフリしてんのか。
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