御曹司は幼馴染を溺愛して蕩けさせたい
「んじゃ、これはいらないな?」
俺は用意していた物件の紙を見せる。
「ああ。逃すかよ」
絃はニカっと笑った。
「ははは。見ものだな」
「でも、大事にしたい。あいつ、何も知らないからきっと」
「まぁ、そこは程々でいいんじゃね? うちの親父みたいに大事にしすぎて悶絶する気か? ははは」
「ククククっ! 確かに。そうだな。そこは程々にな」
俺の親父は、お袋が大事過ぎて一緒に住んでてもなかなか手を出せなかったらしい。
日々悶絶していたと言ってた。
俺も大して変わんねぇな。
「丈慈に、美空に。次はお前かー」
俺は誤魔化すように言う。
「バカ、気がはえーよ」
絃がまた酒を飲んだ。
「なぁ、奏翔。お前ももういいんじゃねぇの?」
「何が」
「維織」
「なんで」
「お前、バレてねぇと思ってる? まぁ、中学ん時のあれは確かに俺も驚いたけどな」
「まぁ…」