御曹司は幼馴染を溺愛して蕩けさせたい
嫌なら噛んでって…

嫌なわけない。
だってこんなに好きなのに。

もう私の扉は完全に開かれた。

下唇を吸われて名残惜しそうにそっと唇が離れる。

「なんで噛まないの?」

鼻と鼻をくっつけたまま話す奏翔。

「それがお前の答え?」

私はもう我慢ならず奏翔の首の後ろに腕を伸ばし自分からキスをした。

奏翔は形の綺麗な目を大きく開ける。

「なぁ。どういう意味? なんで俺に甘えんの? このキスも」

私はまたチュっとキスをした。

「俺、完全にスイッチ入れていいの? 勘違いじゃない?」

奏翔は私の頬に大きな手を添える。
勘違いじゃないよ。
言って。
私は奏翔を見つめる。

「好きだよ。維織」

甘くて低い声。
これまで見たこともないような男性の魅力たっぷりの顔。

「私もだよ。奏翔」

ついに言った。
ついに。

もう幼馴染として好きだなんて自分を誤魔化せない。

お互いどちらからともなくキスをしながら奏翔の大きな手が背中を彷徨う。
その度にピクっと反応してしまう。

「んっ…はぁっ…」
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