御曹司は幼馴染を溺愛して蕩けさせたい
今日はslowは八時から。
まだ時間がある。

自社ビルを出て目的の場所へと車を走らせた。

先日、維織が眠っている間に俺は薬指のサイズを測った。
ひとりでコソコソ紐で測って笑いを堪えるのが大変だったのを思い出す。

あのハロウィン暴走事件の直後、俺は指輪を買う事に決めた。

いつ渡すかは決めてないが仕上がるのに時間もかかるし。

そして店へと入る。
ここは前に維織と買い物に出かけた時に、維織がディスプレイされてる指輪を見て、あの祭りの時みたいな顔を見せた店。

そして似合いそうな指輪を探す。
店員がやってきてあれこれ教えてくれる。
こりゃなかなか恥ずかしいな。

すると奥の方で聞き覚えのある声がする。

げ。
お袋だ。

やべぇ。

俺はクルッと後ろを向いて店を出ようとする。

「奏翔?」

俺は無視する。

「奏翔じゃない!」



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