御曹司は幼馴染を溺愛して蕩けさせたい
「いやまだ…」
「はいはい。維織に口止めでもされた?」
なぜ分かる?
俺は頷く。
「だろうと思った。私にくらい言えっての。涼太はダメ。黙っとくわ」
話が早い。
そしてお袋からも親父は口が軽いと思われている。
「悪いな」
「いつから? 塁くんとヒカリは知ってんの?」
「夏くらいから。塁くんたちは知ってる。維織は知らないけど」
「そ、ならいいわ。維織も可愛いとこあるわよねー本当に」
そう言ってクスクス笑うお袋はなんだか嬉しそうだった。
「奥様ですか?」
その時またスタッフが話しかけてきた。
は?
いや、化け物並みに若く見えるがどう見たって…
「あら! 嬉しい! 実は息子なんです」
恥ずかしいわ。
こんなとこにお袋と来たなんて思われたら。
「仲がよろしいんですね」
ほれみろ。
マザコンを見る目だぞこれは。
「そう見えます? ありがとうございます」
やめてくれー。
そしてお袋はそのままスタッフと話し始めたので俺はそっとその場から離れてまた指輪を探し始めた。