御曹司は幼馴染を溺愛して蕩けさせたい
「どうして謝る?」

「だって奏翔そういうの…」

「全然大丈夫。むしろ嬉しいわ」

今までの女だったらこうはならなかった。
面倒くさくて、鬱陶しいと思って。

「そうなの?」

「ああ。お前からならこんなに嬉しいもんなんだって、ちょっと感動もしてる」

そう言えば維織はぎゅーっと抱きついてきた。
本当に可愛い。

「俺、維織しか無理だから」

維織は抱きついたまま頷く。

「顔上げて」

するとそっと顔を見せてくれる。
恥ずかしそうに。

「可愛いな、維織は」

「勘違いしちゃった」

「ん。また何かあったらすぐ言え」

頭を撫でるとコクっと頷く維織を見て愛おしくてたまらなくなる。

本当に俺には維織しか無理なんだとしみじみ思う。
怒る顔も何もかもが可愛く見えてしまうんだから。

「旅行、楽しみだな」

「楽しみ! まだ行き先は内緒?」

今度は花が咲いたように目をキラキラさせて俺を見る。
本当に機嫌がコロコロ変わって猫みてぇだ。

「内緒」

「ふふふ。わかった」

楽しみだ。
どういう反応するかな、なんて思いながら旅行の日を待った。






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