御曹司は幼馴染を溺愛して蕩けさせたい
「いやあれはさすがに…」

気まずそうな表情を見せる奏翔。

「キスマークも噛みついた跡も全て私は嬉しかった」

そう言えば奏翔はうつ伏せになってクッションにバフっと顔をうずめる。

「奏翔?」

「……たのに」

「え? なんて?」

奏翔を揺らす。
すると顔だけこっちを向いた。

「せっかくセーブしてたのに」

その瞳は情欲的で強く私を求めているそんな瞳をしていた。

「我慢しなくていい」

「お前また動けなくなるぞ」

「それもいいじゃん。幸せだよ」

奏翔はまた顔をクッションにうずめる。
葛藤してるみたいだ。

「あんま煽んなよ…」

「べ、別に煽ってなんか…」

すると身体を起こした奏翔が一気に覆い被さってきて組み敷かれる。

両手をベッドに縫い付けられ身動きが取れなくなる。

私を見下ろす奏翔の顔は髪が降りてよく見えない。
濡れたままの頭からポタっと雫が滴り落ち、奏翔は髪をかき揚げ片側だけ耳にかけた。


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