御曹司は幼馴染を溺愛して蕩けさせたい
「本当によ。たまたま俺が通ったから良かったけどよ」

「あの、絃たちには言わないで…」

なんとか泣きそうになるのを堪えて話す。

「はぁ。わかったよ…」

「ごめんね、本当に」

私は震える手をバレないように必死で隠した。
本当は飛びついてしまいたかった。

奏翔はポンと頭を撫でる。

「まず無事で良かった。帰ろう」

そう言って。

ーーーー

奏翔が怒ったのはあれ以来だったな。
またボコボコにしてしまうんじゃないかとヒヤヒヤしたわ。

あの彼と付き合った時も奏翔にはバレた。
何故だ。
みんなは気付かなかったのに。

凄い形相で詰め寄られてはかされた。

奏翔ってよく見てるんだよな、人の事。

やっぱり接客業してるから?

なんだか、断捨離も全く進まなくなってしまった。

やめよ。

そしてまた指輪の入った缶を思い出と共にそっとしまった。


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