御曹司は幼馴染を溺愛して蕩けさせたい
「脚、長いね」

「今更? デケェと脚もがさばるんだよ」

そう言って組んだ脚をぷらぷらさせる。

「がさばるって。ははは!」

その間も花火は続いていて時間差で音が響いて山にこだましている。

「ありがとう。連れてきてくれて」

ここは素直にお礼を言う。

「ん」

そのまましばらく何も話さず静かに花火が上がる音だけを聞いた。

チラッと奏翔を見ればそんな私に気づいて目が合う。

相変わらずイケメンだ。

「なぁ。あのヤローから連絡とかあった?」

私は首を横に振る。

「連絡きても無視しろあんなヤツ」

私より気にしてないか?
なんかそんな奏翔が面白い。

「ふふふふっ」

「なんだよ」

「大丈夫。これっぽっちも未練ないから。そもそも好きじゃなかったんだよ」

「でもお前珍しく泣いてたろ」

いやそれは…

「あれは…なんかよくわかんない。悔しかっただけだよ」

私はまた前を向いて花火を見る。



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