御曹司は幼馴染を溺愛して蕩けさせたい
キッチンに向かいワインクーラーからワインを出してグラスに注ぐ。
つまみにチーズとサラミとピクルスを皿に適当に並べてリビングからバルコニーに出てソファに座った。
ここはウッドデッキになっていて趣味の植物を育てながら夜景を見て酒を飲む。
一人で。
これが特定の女もいない寂しい独身男の現実だ。
ポケットから電子タバコを取り出し電源をつける。
煙を一息吐く。
しかし思い出すとイライラすんなぁ。
あの男。
やっぱり殴っとけば…
いや、維織はそんな事望んでないか。
あいつは本当に昔っから危なっかしい。
高校の時もそうだった。
維織が攫われそうになってる所に、ちょうど良く俺が通りかかって助けられたから良かったものの。
あん時、隣にいた当時の彼女を置き去りにして俺は維織の元へ駆けつけた。
翌日、彼女にこっ酷く怒られたのは言うまでもない。
「どう考えても維織優先だろ」
なんて言ったら頬を引っ叩かれてフラれたな、そう言えば。
ははは。