御曹司は幼馴染を溺愛して蕩けさせたい
騒つく気持ち
〜維織side〜

副社長室のドアをノックする。

「失礼します。副社長、こちらが資料になります」

私は絃に資料を渡した。

「ああ。ありがとう、そこに置いておいてくれ」

絃から短く返事が返ってきて私は一礼して退出しようとする。

「維織。あとは大丈夫だから帰っていい」

私はまた一礼する。

「申し訳ございません。お先に失礼します」

兄妹と言ってもここは職場なのでこんな感じだ。

「ああ。お疲れ様」

絃は私を見て少し眉を下げて困った表情をして笑った。

誠に申し訳ないっす。
最近喉の調子が悪いと思っていたら、ついに熱が出てしまった。

タイミングが非常によろしくない。

本来なら絃に同行して出張する予定だったのに。
せめて資料だけはと思い準備してから休みたかったので、なんとか踏ん張ってはみたものの結構キツい。
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