御曹司は幼馴染を溺愛して蕩けさせたい
約束ではない。
絃が電話を切った。

「副社長、今受付に伊藤梢さんという女性の方がいらしてるそうですよ」

絃は名前を聞くと驚いた顔をした。
そして舌打ちをする。

遊びの女だな。これ。
押しかけてきたんだな。

我が兄ながら呆れるわ。
ちゃんと女の管理くらいしろっての。

「帰るわ」

でしょうね。

「はい、お疲れ様でした」

私はそれだけ言ってまたパソコンに向かう。
もう少しで終わりそうだから残業しておわしてしまおう。

そんなこんなで変わらず仕事が遅くなればそのまま帰って、早く終わった日の夜はslowに行ったりなんかの日々を過ごす。

そして週末。
もうすっかり慣れてしまったカードキーをかざして奏翔の住むマンションの最上階へとエレベーターで登る。
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