のっぽな私が猫背をやめて恋をする。【マンガシナリオ】
第三話 俺は自分の一番大切なものを守る為に全力を尽くす
◯瑛太の寝室
ベッドの上に並んで座る瑛太と典子。
瑛太「川島彩芽⋯⋯あの女の典子への執着は異常だ。俺たちが結婚すると直ぐにあの女も結婚した、同じ式場で俺たちの一週間前に挙式までして⋯⋯。あの女は先に典子が妊娠したのが許せなかったみたいだ⋯⋯」
典子は今までの彩芽のマウント行為の数々を思い出した。彼女はいつも自分より典子が下でないと気が済まない。
典子の期末テストの順位が彼女を上回ると、しつこく不正をしたのではと迫ってきた。
彩芽は、いつも執拗に典子を追い回した。
背も高く運動神経抜群のバスケ部からのスカウトがあった典子を追いかけるように、彩芽はバスケ部に入部した。
典子「それはちょっと想像できるかも⋯⋯」
瑛太「俺と愛し合った時間は想像できなくても?」
瑛太は典子の耳元で甘い言葉を囁いた。
典子は突き放そうかと思ったが、彼の瞳に苦しさのようなものが滲んでいるのを感じてそのままにした。
典子「妄想なんでしょ。私、笹川君の事を良いなって思ってた事はあるけれど、そこまで大きな感情は持ってないよ」
典子は自分を愛おしそうに抱きしめる瑛太に戸惑っていて、そのままの気持ちを口にした。
実際に彼女に『猫背の呪い』をかけたのは彼だ。
20歳の彼女が昔の事だと判断した出来事も、高校生の彼女にとってはトラウマ級の意味を持つ。
瑛太「妊娠した典子をあの女が歩道橋から突き落としたんだ。典子はお腹の子を守るようにして階段から転げ落ちた。病院に運ばれた時には意識不明の重体。お腹の子も程なくして亡くなった⋯⋯」
瑛太の言葉に典子は固まった。
今まで典子は彼の言葉を全部信じた訳ではなかった。
しかしながら、典子は瑛太が子供が死んだなんて事を冗談で言う人間ではないとわかっている。
典子「歩道橋って、もしかしてあそこの?」
典子は家に帰る途中で通らなければいけない通学路の歩道橋を思い出していた。
瑛太「そうだよ。典子が実家に立ち寄った帰りに、あの女の奇襲にあった⋯⋯俺が病院に到着した時は、もう典子の息はなくてお腹の子だけ取り出す決定をしろって医者から迫られて⋯⋯」
瑛太は苦しそうに胸元を抑えながら語り出した。
瑛太の悲痛な表情に典子は胸が苦しくなった。
典子「どうして、笹川君はそんな記憶を持ってここにいるの?」
瑛太「俺たちの子が亡くなって絶望した。心より願ったんだ。俺の大切な2人が戻ってくる未来を」
典子「笹川君は時を戻る力を持ってるの?」
瑛太「俺にそんな力ないよ。俺は何も守れなかった。そんな力があるとしたら、俺たちの子だ。子供は無限の力を持ってるって言うじゃないか。俺たちの子が自分の存在を持って俺にチャンスをくれたと思ってる⋯⋯」
消え入りそうな声で語る瑛太の目からは涙が零れ落ちそうだった。
典子はその涙の美しさに魅入ると共に、嘘のような話をする瑛太を信じてみようと思った。
典子「笹川君、今の私は別に貴方に特別な恋心も抱いてない。彩芽の事は面倒だと思っているけれど、排除しなければならない程の危険人物とも思ってない。でも、私は笹川君が私にして欲しい事をしたい。笹川君は私にどうして欲しい?」
典子は瑛太の話をほとんど信じていた。
それでも、彩芽はうざいが、人殺しをする程ヤバイ人間とは思っていなかった。
瑛太「十分だよ。典子、お前バスケ部に入ってるだろ。追いかけるように入った川島彩芽はレギュラーになれずマネージャーのような扱いを受けている。夏の試合前にお前を引き摺り下ろす為、あの歩道橋から川島彩芽がお前を落とすんだ⋯⋯」
典子「突き落とすって⋯⋯私、二回も同じ歩道橋で彩芽に突き落とされるの?」
典子の言葉に瑛太は静かに頷いた。
瑛太「典子は複雑骨折にアキレス腱断裂までして、卒業までバスケができなくなる」
典子「そこまで酷い事⋯⋯するの? 彩芽が」
瑛太「20歳の典子は今よりもあの女にうんざりしてた。高校の時に歩道橋から落とされたのもあの女のせいだと嘆いてた。どんなに離れようとしてもくっついてくるあの女の存在に怯えていた」
典子は信じられないような言葉を紡ぐ瑛太を信じている自分を不思議に思っていた。
典子「さっき、成人式には一時帰国だったって言ったけど笹川君は私の為に日本に来たの?」
瑛太「そうだよ。大学まではアメリカだった。でも、チャンスを貰えたなら俺は自分の一番大切なものを守る為に全力を尽くす」
瑛太は典子に顔を近づけてきた。
典子はキスをされると思い、思わず顔を逸らした。
典子「そういうのはやめて欲しい。笹川君の事を信じようと思うけれど、正直今の私は笹川君と恋をしそうにないの⋯⋯」
瑛太「えっ?」
典子「乾燥機止まったね。私着替えて帰るね。雨も止んだみたいだし⋯⋯。私、笹川君と特別な仲にはならない。20歳の私は笹川君に恋できる余裕があったかもしれないけれど、今の私にはない」
典子は小学校の卒業式で自分を笑い者にした瑛太をどうしても許せなかった。
典子はあっけに取られる瑛太を置いて脱衣所で着替えると、部屋を出て行った。
扉を閉めたと同時に典子はなぜか高鳴る心臓を抑えながら呟く。
典子「私たちが結ばれなければ、悲劇も起こらないでしょ⋯⋯瑛太⋯⋯」
ベッドの上に並んで座る瑛太と典子。
瑛太「川島彩芽⋯⋯あの女の典子への執着は異常だ。俺たちが結婚すると直ぐにあの女も結婚した、同じ式場で俺たちの一週間前に挙式までして⋯⋯。あの女は先に典子が妊娠したのが許せなかったみたいだ⋯⋯」
典子は今までの彩芽のマウント行為の数々を思い出した。彼女はいつも自分より典子が下でないと気が済まない。
典子の期末テストの順位が彼女を上回ると、しつこく不正をしたのではと迫ってきた。
彩芽は、いつも執拗に典子を追い回した。
背も高く運動神経抜群のバスケ部からのスカウトがあった典子を追いかけるように、彩芽はバスケ部に入部した。
典子「それはちょっと想像できるかも⋯⋯」
瑛太「俺と愛し合った時間は想像できなくても?」
瑛太は典子の耳元で甘い言葉を囁いた。
典子は突き放そうかと思ったが、彼の瞳に苦しさのようなものが滲んでいるのを感じてそのままにした。
典子「妄想なんでしょ。私、笹川君の事を良いなって思ってた事はあるけれど、そこまで大きな感情は持ってないよ」
典子は自分を愛おしそうに抱きしめる瑛太に戸惑っていて、そのままの気持ちを口にした。
実際に彼女に『猫背の呪い』をかけたのは彼だ。
20歳の彼女が昔の事だと判断した出来事も、高校生の彼女にとってはトラウマ級の意味を持つ。
瑛太「妊娠した典子をあの女が歩道橋から突き落としたんだ。典子はお腹の子を守るようにして階段から転げ落ちた。病院に運ばれた時には意識不明の重体。お腹の子も程なくして亡くなった⋯⋯」
瑛太の言葉に典子は固まった。
今まで典子は彼の言葉を全部信じた訳ではなかった。
しかしながら、典子は瑛太が子供が死んだなんて事を冗談で言う人間ではないとわかっている。
典子「歩道橋って、もしかしてあそこの?」
典子は家に帰る途中で通らなければいけない通学路の歩道橋を思い出していた。
瑛太「そうだよ。典子が実家に立ち寄った帰りに、あの女の奇襲にあった⋯⋯俺が病院に到着した時は、もう典子の息はなくてお腹の子だけ取り出す決定をしろって医者から迫られて⋯⋯」
瑛太は苦しそうに胸元を抑えながら語り出した。
瑛太の悲痛な表情に典子は胸が苦しくなった。
典子「どうして、笹川君はそんな記憶を持ってここにいるの?」
瑛太「俺たちの子が亡くなって絶望した。心より願ったんだ。俺の大切な2人が戻ってくる未来を」
典子「笹川君は時を戻る力を持ってるの?」
瑛太「俺にそんな力ないよ。俺は何も守れなかった。そんな力があるとしたら、俺たちの子だ。子供は無限の力を持ってるって言うじゃないか。俺たちの子が自分の存在を持って俺にチャンスをくれたと思ってる⋯⋯」
消え入りそうな声で語る瑛太の目からは涙が零れ落ちそうだった。
典子はその涙の美しさに魅入ると共に、嘘のような話をする瑛太を信じてみようと思った。
典子「笹川君、今の私は別に貴方に特別な恋心も抱いてない。彩芽の事は面倒だと思っているけれど、排除しなければならない程の危険人物とも思ってない。でも、私は笹川君が私にして欲しい事をしたい。笹川君は私にどうして欲しい?」
典子は瑛太の話をほとんど信じていた。
それでも、彩芽はうざいが、人殺しをする程ヤバイ人間とは思っていなかった。
瑛太「十分だよ。典子、お前バスケ部に入ってるだろ。追いかけるように入った川島彩芽はレギュラーになれずマネージャーのような扱いを受けている。夏の試合前にお前を引き摺り下ろす為、あの歩道橋から川島彩芽がお前を落とすんだ⋯⋯」
典子「突き落とすって⋯⋯私、二回も同じ歩道橋で彩芽に突き落とされるの?」
典子の言葉に瑛太は静かに頷いた。
瑛太「典子は複雑骨折にアキレス腱断裂までして、卒業までバスケができなくなる」
典子「そこまで酷い事⋯⋯するの? 彩芽が」
瑛太「20歳の典子は今よりもあの女にうんざりしてた。高校の時に歩道橋から落とされたのもあの女のせいだと嘆いてた。どんなに離れようとしてもくっついてくるあの女の存在に怯えていた」
典子は信じられないような言葉を紡ぐ瑛太を信じている自分を不思議に思っていた。
典子「さっき、成人式には一時帰国だったって言ったけど笹川君は私の為に日本に来たの?」
瑛太「そうだよ。大学まではアメリカだった。でも、チャンスを貰えたなら俺は自分の一番大切なものを守る為に全力を尽くす」
瑛太は典子に顔を近づけてきた。
典子はキスをされると思い、思わず顔を逸らした。
典子「そういうのはやめて欲しい。笹川君の事を信じようと思うけれど、正直今の私は笹川君と恋をしそうにないの⋯⋯」
瑛太「えっ?」
典子「乾燥機止まったね。私着替えて帰るね。雨も止んだみたいだし⋯⋯。私、笹川君と特別な仲にはならない。20歳の私は笹川君に恋できる余裕があったかもしれないけれど、今の私にはない」
典子は小学校の卒業式で自分を笑い者にした瑛太をどうしても許せなかった。
典子はあっけに取られる瑛太を置いて脱衣所で着替えると、部屋を出て行った。
扉を閉めたと同時に典子はなぜか高鳴る心臓を抑えながら呟く。
典子「私たちが結ばれなければ、悲劇も起こらないでしょ⋯⋯瑛太⋯⋯」