のっぽな私が猫背をやめて恋をする。【マンガシナリオ】
第五話 俺の前だと背筋伸びてて一段と綺麗だ
○通学路(夜)
瑛太「髪、綺麗なのに伸ばさないの? 小学校の時は艶々の綺麗なロングだったし、成人式で再会した時もロングだったよ」
典子は淡い初恋をしていた瑛太に笑い者にされた時に髪を切ったのを思い出した。
典子は思わず握っていた瑛太の手を振り払う。
典子「短い方が楽だし⋯⋯成人式は髪を結おうと思って髪を伸ばしてただけだと思う。あまり、馴れ馴れしくしないで。誤解されたくない⋯⋯」
典子は瑛太を放って小走りに家に向かう。
○典子の家の前
インターホンを押すと典子の母親(ボブカットの40代の世話好きな主婦)が出てくる。
典子の母「やっと帰ってきた! どうしたの? もう、22時よ。えっと、そちらの方は」
瑛太「典子さんとお付き合いしている笹川瑛太と申します。典子さんは今日同級生の川島彩芽に部室に閉じ込められました。その処理関して私に一任頂きたいのですがよろしいでしょうか?」
瑛太が頭を深々と下げる。
典子の母「えっ? 彼氏? 典子にこんなかっこいい彼氏? 典子をよろしくお願いします」
典子の母は瑛太が小学校の同級生とも気づかずに、瑛太のイケメンぷりと礼儀正しさに恐縮しまくっていた。
瑛太「では、今日は遅いので失礼します。典子さん、体が冷えてると思うからお風呂でよくあったまるんだよ」
瑛太は柔らかく微笑むと軽く会釈して去っていった。
典子「ちょっと、彼氏って⋯⋯」
思わず典子は瑛太の手首を掴む。
すると瑛太は彼女の耳元で囁いた。
瑛太「典子、俺の前だと背筋伸びてて一段と綺麗だ」
典子は真っ赤になり絶句して、彼の後ろ姿を見送るしかなかった。
○学校・教室(朝の会)
彩芽が何事もなかったように定刻にきっちりした格好で登校をしてきた典子を見て睨みつける。
担任教師「今日の1時間目は学活だ。体育祭の応援団を決めるつもりだが、立候補したい奴はいるか?」
瑛太がスッと手を挙げる。
担任教師「おっ! 転校生やる気だな」
クラスメート女子「笹川君やるなら、私もやっちゃおうかな」
瑛太「体育祭の応援団決めの前に、クラスで議論したい議題があります。昨日、このクラスの瀬高典子さんが川島彩芽さんにバスケットボール部の部室に監禁されました」
周囲がざわめき、典子は驚いた顔をして振り向き瑛太の顔を凝視する。
瑛太は任せておけとばかりに軽くウインクした。
クラスメート「監禁ってまじ?」「やばくない?」
彩芽「私、そんな事してません」
彩芽が目に涙を浮かべながら立ち上がる。
晴人「そうだよ、彩芽ちゃんがそんな事する訳ないだろ」
担任教師「笹川、このクラスでイジメはない。瀬高はイジメに合うようなタイプではないし、川島もいじめっ子じゃないだろ」
担任教師が半笑いでいう言葉に、瑛太はボイスレコーダーの音声を聴かせた。
彩芽『背がデカいだけでレギュラー取った癖に偉そうにしてるんじゃねーよ』
鍵を閉める音と扉を叩く音。
典子『ちょっと、彩芽、開けて!』
彩芽『そんなに自主練したいなら、臭い部室で一生やってたら。じゃあね、夜も遅いし私は帰るわ。朝になったら、朝練組が開けてくれるんじゃない?』
クラスメートが音声を聞いて騒ぎ出す。
瑛太「このボイスレコーダーは昨日、俺が学校に持ってきて瀬高さんに没収されたものです。アメリカの学校だと授業の録音が許されたのですが、この学校はダメだったみたいですね。でも、偶然にも犯行の瞬間を録れて良かった」
肩をすくめて瑛太が言った言葉に担任が慌て出す。
担任教師「犯行の瞬間って、ちょっとふざけ合ってただけだろ?」
瑛太「下手したら、瀬高さんは寒い夜を閉じ込められたまま過ごすかもしれなかったんです。食事もトイレも行けない環境です。これは立派な犯罪です。当然、この話は教育委員会にも持っていて問題にしますし、警察にも被害届も出します」
担任教師「警察って、川島はまだ未成年だろ?」
瑛太「16歳は未成年でも犯罪未成年ではありません。本件は立派な少年犯罪だと思います」
瑛太の言葉に担任教師が目に見えて焦り出した。
彩芽「ちょっとふざけただけなのに、大袈裟じゃないですか? 人を犯罪者扱いするなんて酷いです! 何か言ってよ! のりちゃんは私の親友でしょ!」
典子「言われてみれば、犯罪だよね」
典子は自分が彩芽に突き落とされる運命にあるという言葉を思い出していた。
おそらく瑛太は典子の為にこの場で彩芽を徹底的に潰すつもりだ。
クラスメート「やばい、うちのクラスから犯罪者出ちゃった」「川島、停学か退学になるんじゃない?」
晴人「やめろよ。瀬高! お前、性格悪過ぎだろ。ちょっとイタズラしただけで小学校からの友達を犯罪者扱いって」
典子「馬鹿にして閉じ込めるのが友達? 鈴木君はちょっと黙ってて!」
瑛太「晴人、女の趣味が悪いのは勝手だけど、もっと客観的に状況を見たら? 川島彩芽は相当酷い女だぞ」
彩芽「酷いよ。そんな」
彩芽は声をあげて泣き出すが、晴人も庇いきれずに目を逸らす。
担任教師「待ってくれ。この問題は先生に引き継がせてくれ。川島のご両親にも連絡して、再発がないように徹底的に指導する。瀬高、それで良いよな。正式に謝罪の席を設けるから」
典子は瑛太の方をチラリと見る。
典子はあっという間に場を掌握した未来の夫の瑛太は頼もしいけど、ちょっと怖いと思った。
瑛太「髪、綺麗なのに伸ばさないの? 小学校の時は艶々の綺麗なロングだったし、成人式で再会した時もロングだったよ」
典子は淡い初恋をしていた瑛太に笑い者にされた時に髪を切ったのを思い出した。
典子は思わず握っていた瑛太の手を振り払う。
典子「短い方が楽だし⋯⋯成人式は髪を結おうと思って髪を伸ばしてただけだと思う。あまり、馴れ馴れしくしないで。誤解されたくない⋯⋯」
典子は瑛太を放って小走りに家に向かう。
○典子の家の前
インターホンを押すと典子の母親(ボブカットの40代の世話好きな主婦)が出てくる。
典子の母「やっと帰ってきた! どうしたの? もう、22時よ。えっと、そちらの方は」
瑛太「典子さんとお付き合いしている笹川瑛太と申します。典子さんは今日同級生の川島彩芽に部室に閉じ込められました。その処理関して私に一任頂きたいのですがよろしいでしょうか?」
瑛太が頭を深々と下げる。
典子の母「えっ? 彼氏? 典子にこんなかっこいい彼氏? 典子をよろしくお願いします」
典子の母は瑛太が小学校の同級生とも気づかずに、瑛太のイケメンぷりと礼儀正しさに恐縮しまくっていた。
瑛太「では、今日は遅いので失礼します。典子さん、体が冷えてると思うからお風呂でよくあったまるんだよ」
瑛太は柔らかく微笑むと軽く会釈して去っていった。
典子「ちょっと、彼氏って⋯⋯」
思わず典子は瑛太の手首を掴む。
すると瑛太は彼女の耳元で囁いた。
瑛太「典子、俺の前だと背筋伸びてて一段と綺麗だ」
典子は真っ赤になり絶句して、彼の後ろ姿を見送るしかなかった。
○学校・教室(朝の会)
彩芽が何事もなかったように定刻にきっちりした格好で登校をしてきた典子を見て睨みつける。
担任教師「今日の1時間目は学活だ。体育祭の応援団を決めるつもりだが、立候補したい奴はいるか?」
瑛太がスッと手を挙げる。
担任教師「おっ! 転校生やる気だな」
クラスメート女子「笹川君やるなら、私もやっちゃおうかな」
瑛太「体育祭の応援団決めの前に、クラスで議論したい議題があります。昨日、このクラスの瀬高典子さんが川島彩芽さんにバスケットボール部の部室に監禁されました」
周囲がざわめき、典子は驚いた顔をして振り向き瑛太の顔を凝視する。
瑛太は任せておけとばかりに軽くウインクした。
クラスメート「監禁ってまじ?」「やばくない?」
彩芽「私、そんな事してません」
彩芽が目に涙を浮かべながら立ち上がる。
晴人「そうだよ、彩芽ちゃんがそんな事する訳ないだろ」
担任教師「笹川、このクラスでイジメはない。瀬高はイジメに合うようなタイプではないし、川島もいじめっ子じゃないだろ」
担任教師が半笑いでいう言葉に、瑛太はボイスレコーダーの音声を聴かせた。
彩芽『背がデカいだけでレギュラー取った癖に偉そうにしてるんじゃねーよ』
鍵を閉める音と扉を叩く音。
典子『ちょっと、彩芽、開けて!』
彩芽『そんなに自主練したいなら、臭い部室で一生やってたら。じゃあね、夜も遅いし私は帰るわ。朝になったら、朝練組が開けてくれるんじゃない?』
クラスメートが音声を聞いて騒ぎ出す。
瑛太「このボイスレコーダーは昨日、俺が学校に持ってきて瀬高さんに没収されたものです。アメリカの学校だと授業の録音が許されたのですが、この学校はダメだったみたいですね。でも、偶然にも犯行の瞬間を録れて良かった」
肩をすくめて瑛太が言った言葉に担任が慌て出す。
担任教師「犯行の瞬間って、ちょっとふざけ合ってただけだろ?」
瑛太「下手したら、瀬高さんは寒い夜を閉じ込められたまま過ごすかもしれなかったんです。食事もトイレも行けない環境です。これは立派な犯罪です。当然、この話は教育委員会にも持っていて問題にしますし、警察にも被害届も出します」
担任教師「警察って、川島はまだ未成年だろ?」
瑛太「16歳は未成年でも犯罪未成年ではありません。本件は立派な少年犯罪だと思います」
瑛太の言葉に担任教師が目に見えて焦り出した。
彩芽「ちょっとふざけただけなのに、大袈裟じゃないですか? 人を犯罪者扱いするなんて酷いです! 何か言ってよ! のりちゃんは私の親友でしょ!」
典子「言われてみれば、犯罪だよね」
典子は自分が彩芽に突き落とされる運命にあるという言葉を思い出していた。
おそらく瑛太は典子の為にこの場で彩芽を徹底的に潰すつもりだ。
クラスメート「やばい、うちのクラスから犯罪者出ちゃった」「川島、停学か退学になるんじゃない?」
晴人「やめろよ。瀬高! お前、性格悪過ぎだろ。ちょっとイタズラしただけで小学校からの友達を犯罪者扱いって」
典子「馬鹿にして閉じ込めるのが友達? 鈴木君はちょっと黙ってて!」
瑛太「晴人、女の趣味が悪いのは勝手だけど、もっと客観的に状況を見たら? 川島彩芽は相当酷い女だぞ」
彩芽「酷いよ。そんな」
彩芽は声をあげて泣き出すが、晴人も庇いきれずに目を逸らす。
担任教師「待ってくれ。この問題は先生に引き継がせてくれ。川島のご両親にも連絡して、再発がないように徹底的に指導する。瀬高、それで良いよな。正式に謝罪の席を設けるから」
典子は瑛太の方をチラリと見る。
典子はあっという間に場を掌握した未来の夫の瑛太は頼もしいけど、ちょっと怖いと思った。