夏の夜空に消えてく花火
「さーてと、あたし達も帰りますか」
「はいはい」
俺の数歩前を歩くアキが、両手を上げて背伸びをしながら振り返る。
「あんたとナツキって、大学の時からだから……えーと、4年だっけ?」
「5年目だよ」
「うわ、信じらんない!あたしそんな続いたこと無い!」
「知ってる」
「でも、まぁ。高校の頃から本当にナツキは良い子だからねー」
「知ってる」
「あんたにはほんと勿体無い」
「知ってる」
「泣かせたら、マジで蹴る」
「もう蹴ったじゃねーか」
「あはは」
1歩1歩、家路を歩き出す。
久しぶりに見るアキの背中は小さくて、凄く遠く感じた。