夏の夜空に消えてく花火



「じゃさ、もー結婚とか考えてんの?」

「俺、まだ24だし」

「えー?全然、考えてないのー?」

「いや、うん。まぁ、すぐじゃなくて……同棲とかしてから…」

気恥ずかしさから口ごもってしまったのは、コイツと結婚の話するとは思わってもいなかったから。


「ふーん。昔は誰とも続かなかったのにね」

「昔の話だろ」

「……」

「……」

街頭の少ない薄暗い河原道。
満月と時々通り過ぎる車のヘッドライトだが辺りを照らし出す。

家から駅までのこの道程は、昔、アキと並んで歩いた時と変わらない。




「ふっ、あは、あははは!!!」

沈黙を壊したのアキの笑い声で、しんみりとした空気が一瞬で軽いものとなった。


「な、なんだよ?」

「ハルキ!も少し飲んで昔話しよ~」

一瞬、ナツキの顔が浮かんだけど、コイツが子供みたいに無邪気に笑うから。俺はアキに引かれかながら歩き出した。

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