夏の夜空に消えてく花火
昔の話



高校最後の夏。
アキとナツキも含めて、クラスの奴等とこの河原で集まった。
蒸し暑い熱帯夜だった。

花火を買って持ち寄って、アルコールは飲んでいなかったものの馬鹿騒ぎをしていた。




「きゃー、アキちゃん危ないよー!!」

「ほら、ナツキも持って持って!」

「小池は危ないから」

あの頃はまだナツキと付き合う前だったな。

止めたのにも関わらず、アキはナツキに花火を持たせた。



「こうして、手に持って」

「え、あ、うん……」

「火を付けてー」

「うん」

「上に、投げる!!」

「え、え、え?」



「……ナツキ!早く離して!!」


危なっかしーなぁ、なんて隣で思っていた矢先の出来事だった。





「あつッ……」



ナツキが持っていたロケット花火を離さなくて、そのまま火花が発射された。


< 16 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop