夏の夜空に消えてく花火




お酒も外で飲めない。花火も出来ない。
アキが悪いが、簡単に強制退国されてしまっても。

それでも、コイツはここより自由で良い場所だと話す。

アキにとっては日本は狭くて物足りないのだろうけど。



「最後の1本いっとく?」

「お、おう」


導火線に火が付いて、最後の花火が飛んでいく。オレンジ色の光は派手な音を出して一瞬で消えた。

2人の笑い声も話し声も、次第に小さくなって、辺りが静けさが広がる。
真っ黒な空に浮かぶ三日月と数少ない星が並ぶ。じっとりと湿った空気がを熱帯夜を感じさせた。
おかしいな、さっきまでこんなに暑いと思わなかったのに。





「本当は、強制退国させられる前にね」


隣で膝をかかえるアキがぽつりと言葉を落とした。



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