夏の夜空に消えてく花火
――あんた、いい度胸してんね
――は?お前ほどじゃねーよ
はじめて会った時だって、近所の上級生とやり合ってた位だ。
アキは俺なんかが手におえる相手じゃなかった。
「……ばっ、か。お前」
思わずアキの背中に回した手が、指先が震えた。
その小さな背中に力を込めても、夢の中のようで現実とは思えなくて。ゆっくりとコイツの肩に手を置いて距離をおく。
アキは自由奔放で、俺なんか置いてかけ出すから。
凄く眩しくて止める事なんて出来ないと思ってた。
「ハルキ、あたしあんたのこと好きだったよ」
「な、なんで今更、」
「今更だからだよ」
「……そしたら、俺だって、お前のこと」
"好きだった"──。
全てはお互いに過去の話だ。