夏の夜空に消えてく花火
「ハルキ」
ニカッと歯を見せてアキが俺を見上げる。
「ナツキはいい子だよ」
「知ってる」
「あんたなんかには勿体ないけどさ」
「知ってるよ」
「絶対、いい嫁になる!」
「ちょっと、アキちゃんやめてよ」
「知ってるって」
「え、と、ハルキ!?」
「2人とも、バイバーイ!!!」
大きなキャリーケースをひきずって、アキが右手を大きく振る。無邪気に笑顔を見せて、搭乗口の人混みの向こう側に消えていった。