夏の夜空に消えてく花火
「でも、アキちゃん。いつ帰って来たの?」
ナツキが嬉しそうに、声を弾ませる。
そうだよな。コイツは何故かアキと仲が良かったから。
アキは大学を卒業して就職した、が――。
すぐに辞めて、「あたし世界を旅してくる」とか言って外国へ行ってしまった。
それから約2年。
その間、俺にはもちろん、ナツキにさえ連絡がなかったのだ。
先週、犬の散歩中に偶然アキの母親と会ったけど、こっちに戻ってくるなんてそんな話してなかったのに。
「今日、夕方に帰ってきた」
そう言って、アキはニカッと歯を見せた。
「えっ、今日?せっかくだから誰か呼ぼうか?リッちゃんも心配してたんだよ!」
「あはは!!いーよ、いーよ!おいおいで!!」
ジョッキに口を付けながら、2人のやり取りを眺めれば懐かしさが込み上げてくる。