夏の夜空に消えてく花火
「今までどこ行ってたんだよ。ナツキだって心配してたんだぞ」
俺の言葉にナツキもうんうんと頭を上下に振る。
「オーストラリア!凄い良かったよ」
「「オーストラリア!?」」
俺とナツキの驚きの声が重なった。
「うん、途中からワーホリ使って働いたりしてたんだけど」
「へー、なんか凄いな」
「アキちゃん、英語得意だったもんね」
「いやいや、やっぱ高校、大学の英語じゃ全然ダメでさ」
「俺、外国なんて家族としか行ったことないから……」
「わ、私もだよー」
「あはは!大変だったよ。伝わらないしさ、でも拾う神もありなんだよね。最近は日本人向けの通訳の仕事までありつけたんだけど……」
目を輝かせるアキは、とてもイキイキしていた。
気候が住みやすかったこと。
カンガルーの肉は可哀想だから食べなかったこと。
向こうでルームシェアしてた友達のこと。
「実は、いつの間にかビザ切れてて強制的に帰らされたんだー!」
……どこまでも、アキらしかった。