元体操のお兄さんとキャンプ場で過ごし、筋肉と優しさに包まれた日――。
お兄さんが何か言いかねていると「お兄さん、手紙書いてあげよっか?」と、ラーメンを食べ終えた碧が言った。そして返事を待たずにテントの中に入っていった。
「手紙か……何書いてくれるんだろ。楽しみだな」
碧がいなくなってからは無言のふたり。
緊張感のようなものはあるけれど、居心地は悪くない。
しばらくすると、折りたたまれた手紙を碧はお兄さんに渡した。私は何を書いたのか気になりそっと覗いた。
その手紙は、いつも碧がリュックに入れて持ち歩いている可愛いユニコーンのお気に入りのメモ紙にアイスクリームのシールが貼られ、そして『おにいさん、だいすき♡』とお兄さんの似顔絵と共に書かれていた。
「本当に嬉しすぎる。ありがとう、碧ちゃん!」
お兄さんはそう言うと、碧ちゃんを抱きしめた。若干目がうるっとしているお兄さんと、嬉しい反応をしてくれたからか、微笑む碧。
なんというか、写真に撮って額に入れて、リビングの一番目立つところに飾りたいような、光景。
みとれていると、碧はお兄さんから離れ「ママも、やる?」と質問してきた。
「何を?」
「お兄さんとギュって。だって、こないだ筋肉番組を観ながらママ、お兄さんにギュってされてみたい……って」
子供の予測不能な言動はときどき恐ろしい。というか、心の呟きを声に出していたのか私。娘の前でそんな発言を。
突然の予想外の言葉に心が飛び跳ね、ぎょっとする。
「いや、いい!!!! 大丈夫!」
全力で拒否してしまった!
***
「手紙か……何書いてくれるんだろ。楽しみだな」
碧がいなくなってからは無言のふたり。
緊張感のようなものはあるけれど、居心地は悪くない。
しばらくすると、折りたたまれた手紙を碧はお兄さんに渡した。私は何を書いたのか気になりそっと覗いた。
その手紙は、いつも碧がリュックに入れて持ち歩いている可愛いユニコーンのお気に入りのメモ紙にアイスクリームのシールが貼られ、そして『おにいさん、だいすき♡』とお兄さんの似顔絵と共に書かれていた。
「本当に嬉しすぎる。ありがとう、碧ちゃん!」
お兄さんはそう言うと、碧ちゃんを抱きしめた。若干目がうるっとしているお兄さんと、嬉しい反応をしてくれたからか、微笑む碧。
なんというか、写真に撮って額に入れて、リビングの一番目立つところに飾りたいような、光景。
みとれていると、碧はお兄さんから離れ「ママも、やる?」と質問してきた。
「何を?」
「お兄さんとギュって。だって、こないだ筋肉番組を観ながらママ、お兄さんにギュってされてみたい……って」
子供の予測不能な言動はときどき恐ろしい。というか、心の呟きを声に出していたのか私。娘の前でそんな発言を。
突然の予想外の言葉に心が飛び跳ね、ぎょっとする。
「いや、いい!!!! 大丈夫!」
全力で拒否してしまった!
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