元体操のお兄さんとキャンプ場で過ごし、筋肉と優しさに包まれた日――。
 次の日、朝ご飯を食べる前に早速聞いてみる。

「ねぇ、このキャンプの場所どう?」
 
 碧にスマホ画面を見せ、昨日見つけたキャンプ場の写真を確認してもらった。
「えっ? キャンプに連れて行ってくれるの?」
 碧の目がスマホを見ながら輝きだす。

「うん、ママ、キャンプ行ったことないから、ちょっと行くの緊張するけど……でも楽しそうだよね!」
「やった!」

 碧の反応はいつもゆるやか。今も静かでゆるやかな反応だけど、心の中では力強く喜んでくれているなって様子がひしひしと伝わってきた。

――良かった!

 碧の喜んでいる姿を見るのは、本当に幸せだな。

 それから当日まで、必要なものをチェックしながら、少しずつ準備をした。ホテルで泊まるのとは違い、意外と持っていくものが多い。

***

 そしてついに、出発する日が来た。

 お昼ご飯を家で食べた後、行く時に通るスーパーで夜のお弁当と次の日の朝に食べるパン、そしてお菓子や飲み物などを買い込んでから目的地に向かう。

 いつもよりテンション高めな碧は、車の助手席で外の風景を「景色良いね!」と言いながら笑顔で眺めていた。

「碧、キャンプ楽しみだね!」
「うん、楽しみ!」

 満開な笑顔でそう言う碧。
 私も自然と笑みがこぼれる。

< 3 / 20 >

この作品をシェア

pagetop