元体操のお兄さんとキャンプ場で過ごし、筋肉と優しさに包まれた日――。
 テントの立て方は、実践はしていないけれど、どれをどこに使うとかはなんとなく頭の中で整理はしていた。

 まずは収納するために小さく折りたたんである紐で繋がっている、上手く説明できない棒を、一本の長い棒になるようにしてから、テント本体と合わせて家の柱みたいになるようにするんだよね? 

 弧を描くような長い棒がふたつ完成した。
 本体の穴達に通すわけだけど、どの穴に?

 頭の中では組み立てられるのに、リアルに組み立てるとなると、テントが大きいからか?苦戦する。

「ママ、大丈夫?」と碧が心配してこっちを見ている。
「うん、なんか組み立て方は分かったかも……?」

 そんな感じで、とにかく四苦八苦している時だった。

「何か、お手伝いしましょうか?」

 彼が、救世主のように現れた――。
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