元体操のお兄さんとキャンプ場で過ごし、筋肉と優しさに包まれた日――。
お兄さんは、荷物をテントの中まで運んでくれた。
再びお兄さんにお礼を言うと、テントの中に碧と入る。丸まって収納されていた寝袋をふたつ広げてその上に座り、荷物の整理をする。
まだ暑い時間帯だったから入口を開けていると、お兄さんが「夜ご飯はお決まりですよね?」と、覗き込んできた。
「はい、さっきスーパーで買ってきたお弁当を食べる予定です」
「あの、良ければ、これから肉を焼くんで、それも食べます? 祖母の家から送られてきた、美味しい肉なんですよ。椅子も余分に持ってきているので良かったらこっちに。いや、なんか自分、ナンパ師みたいな感じっすね。すみません、お邪魔ですよね……」
お兄さんからの突然のお誘いに動揺していると「食べたい……」と碧が呟いた。
「ナンパ師だなんて、全く思わないですし。碧も焼肉を食べたそうにしているので、とてもありがたいです。でも、お兄さんの分、足りなくなりませんか?」と質問すると「問題ありません!」って答えてくれた。
「じゃあ、お言葉に甘えて少しだけお肉をいただきます」
「今から火をおこして焼くんで、焼けるまで休んでいてください」
「ありがとうございます」
まさかのお兄さんが焼いた肉を食す。奇跡という言葉が頭の中心部に宿る。
そもそも焼肉だけではなく、テントが隣同士なこと自体が奇跡。碧も楽しそうだし、本当に来てよかった――。
手伝いたい気持ちもあったけれど、足でまといになりそうな予感しかしなくて、素直にしたがった。
――お兄さんって、体操のお兄さんを辞めてからは、何をしているんだろう。テレビではたまに見かけるけども。
お兄さん情報を細かく知りたい。
お兄さんが私たちのテントから離れて肉を焼くための準備を始める。そっとお兄さんにはバレないように、碧と一緒にスマホでお兄さんのブログやSNSのチェックを始めた。ちなみに最近は、筋肉番組で年齢と、プロテインはソイ派な情報は得ていた。
再びお兄さんにお礼を言うと、テントの中に碧と入る。丸まって収納されていた寝袋をふたつ広げてその上に座り、荷物の整理をする。
まだ暑い時間帯だったから入口を開けていると、お兄さんが「夜ご飯はお決まりですよね?」と、覗き込んできた。
「はい、さっきスーパーで買ってきたお弁当を食べる予定です」
「あの、良ければ、これから肉を焼くんで、それも食べます? 祖母の家から送られてきた、美味しい肉なんですよ。椅子も余分に持ってきているので良かったらこっちに。いや、なんか自分、ナンパ師みたいな感じっすね。すみません、お邪魔ですよね……」
お兄さんからの突然のお誘いに動揺していると「食べたい……」と碧が呟いた。
「ナンパ師だなんて、全く思わないですし。碧も焼肉を食べたそうにしているので、とてもありがたいです。でも、お兄さんの分、足りなくなりませんか?」と質問すると「問題ありません!」って答えてくれた。
「じゃあ、お言葉に甘えて少しだけお肉をいただきます」
「今から火をおこして焼くんで、焼けるまで休んでいてください」
「ありがとうございます」
まさかのお兄さんが焼いた肉を食す。奇跡という言葉が頭の中心部に宿る。
そもそも焼肉だけではなく、テントが隣同士なこと自体が奇跡。碧も楽しそうだし、本当に来てよかった――。
手伝いたい気持ちもあったけれど、足でまといになりそうな予感しかしなくて、素直にしたがった。
――お兄さんって、体操のお兄さんを辞めてからは、何をしているんだろう。テレビではたまに見かけるけども。
お兄さん情報を細かく知りたい。
お兄さんが私たちのテントから離れて肉を焼くための準備を始める。そっとお兄さんにはバレないように、碧と一緒にスマホでお兄さんのブログやSNSのチェックを始めた。ちなみに最近は、筋肉番組で年齢と、プロテインはソイ派な情報は得ていた。