記憶喪失の黒沢くん。

「私がもし助けなかったらあなたはどうするつもりなんですか…?」


「そうだな〜もし君が助けてくれなかったら…

  そこら辺で野垂れ死んじゃうかもね?」


ニヤリと私に挑発的な笑みを向ける名前も知らない人間。

一方野垂れ死ぬという言葉に人間を拾うのは…という気持ちがグラグラ揺れている私。


「本当に何も覚えてないんですか?」


「名前だけなら覚えてるよ〜ね、知りたい?」


「会話をするうえで知ってたほうが便利かと…」


「それもそうだね…じゃあ教えてあげるよ。僕の名前は黒沢ミキ。ミキって呼んでよ」


「黒沢くんってミキという名前なんですね…!私の名字も三木なんです!」


「わぁ、ミキって呼んでって言ったのにスルーされてるー」


さらっと黒沢くんと呼びながら記憶喪失の人、改め黒沢ミキくんを観察する。


黒沢という名字に相応しい真っ黒な髪の毛と瞳。
身長は180を越してそうだし顔立も彫りの深いイケメンだ。
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