記憶喪失の黒沢くん。
髪質もいいしとても貧乏な家の子供には見えない。
むしろ大金持ちの息子です、って言われたほうが納得できるかも。

記憶喪失なのにヘラっとした顔だけはムカつくけど…



「…本当に何も覚えてないんですか?」


「まったく覚えてないよ。住所も学校も親の顔も」



全く覚えてない、といった時の黒沢くんの表情が一瞬だけ苦しそうに見えた。



「一ヶ月です」


それを見てしまって無視できるほど私は割り切った人間じゃないから…



「ん?」


黒沢くんの全く覚えてないという言葉を信じて決意する。


「一ヶ月なら私の家に置くことができます。その間に記憶を取り戻しましょう…!」


人間を拾うのはさすがにやばいのは分かってるけど…一ヶ月くらいなら、いいよね…?


「安心してください、私が絶対黒沢くんの記憶を戻してみせます!」


「よくわかんないけど家においてもらえるってことだよね?」


「一ヶ月だけですけど!」


「わーいありがと、みーちゃん」
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